医者の苦悩~過労死は誰のせい?~
こんにちは。
mineminedoctorです。
近年、働き方改革で国民の仕事に対する意識が変化してきていると思います。
医師においては2024年を目途に、年960時間(一部例外は1860時間)、月100時間という残業制限が適応されそうです。
でもさ、月100時間なんて普通に救急医療やってたらいっちゃうよね。多分、あってないものになりそうな感じがしてなりません。
実際、ぼくも最初の6年くらい月450時間平均くらいで働いていました。400時間切る月はなんか楽だなって感じるくらい。でも夜中も働いてるし土日もないので基本病院に泊まっている感じ。週4日くらい病院で寝て、2日くらい家で寝て、1日はシャワーと着替えを取りに一瞬帰宅する感じ。
ぼくはもともと精神的にも体力的にも強靭ではなかったから、ある程度何が来ても怖くないよってなったら大学を出て就職するつもりだった。いわば期限付きの過重労働。でも、これをあと何年も続けろって言われたら正直きつい。
まあ大学病院も年齢があがると負担は減るんだけど、これは他の仕事と一緒だと思う。
若い時にがむしゃらに働いて、転職とか。
今は自分ひとりしか脳外科医がいない総合病院で働いてます。
大学にいたときとは比べ物にならないくらい、仕事とプライベートのメリハリがついて充実しています。もちろん、一人なので週4日外来やって、60人くらいの入院患者さん診て、オペも一人でして。結構大変なときは大変。
だけど何よりぼくは、社会性に著しく欠ける人間なので、人と一緒に仕事をしなくていいことが素晴らしく楽。
前の職場もすごくいい先輩、後輩に恵まれて人間関係のストレスって考えたことなかったけど、やっぱり一人は楽。
人間関係のストレスって仕事に占めるウエイト結構多いですよね。
では、医者の過労死について。
現在、医者の1割(約2万人)が年1860時間以上の残業を強いられている。実に過労死2回分!!
医者は当直あるから36時間連続労働とかひどいと72時間連続とか日常茶飯事。これに加えての残業だから、これがいかに酷い労働環境か察していただけるだろうか。
それは過労死するよね。
この原因は主に3つあると考える。
①医師法第19条 応召義務
これは医者だったら患者さんが運ばれてきたら絶対に診療してねってこと。
今日は飲み会だからとか、今日は結婚記念日だからとかそんなの理由にならないってこと。
②医師不足と医師の偏在、および診療科の偏在
新設医大もできて、医師の数はちょっとずつ増えてはいるけど、女性医師の増加とQOLを考える医者の増加で緊急がない診療科に進む医者が年々増えていること。地方の医師不足は言わずもがな。
実際、ぼくの脳外科とかも3Kと言われ、「キツイ」、「厳しい」、「帰れない」なんて揶揄される診療科。
実際、入局したとき「おれは親の死に目にオペで立ち会えなかった」とか「妹の結婚式に参加できなかった」とか、「自分の結婚式にもいけなった」←これは嘘だろって思うけど。
そんなこと言われて、プライベートなんて一切ないんだ。医療に人生を捧げろ!!
そう洗脳されてた気がする。
また、駆け出しの頃ってこれがかっこいいって勘違いなんかしちゃって。
こんなこと一般企業でやったらパワハラで一発アウトーでしょ。
でも医者の世界ではこれが当たり前なんです。
おかしいでしょ??
でも、本当に言いたいことは3つめ
①、②はネットを見ればどこにでも書いてある受け売り。こんなこと書くなら記事の意味がない。
③無駄な延命
ぼくは急性期医療においてこれが結構多いと感じる。そして医療を圧迫している。
9○歳、施設で心肺停止。蘇生処置。心臓戻った!!けど、、人工呼吸器、植物状態。こんなの医者と家族のエゴでしかない。
本人はそこまでして生かされたいか?鼻から管入れられて栄養ぶち込まれて。意識もないまま。回復の見込みもない。
現代の救命医療は進んでいる、確かに。かつては不可能だった救命も現在は可能かもしれない。
でもこれが間違いなく人員的にも、経済的にも現在の医療を圧迫している。
現在の医療の根底にある、「なにがなんでも、どんな患者も助けるんだ!!(その先はいいとして)」の概念を根本から変えていかないと、医者の過労死は改善されないと思う。
もう十分生きたよね。残念だけどここで諦めよう。
これ以上無理やり生かしても本人のためにならないよね。
こういう考えが広がらないと、医者の労働は改善されないどころか悪化する一方だと思う。